初めての夜に
今まで、何度も二人きりになったこと、あったのに ―――。
「・・・・・・んっ」
「・・・・・・はっぁ・・・・・・」
二人は、クラウドの自室で口付けを交わしていた。
別に珍しいことではない。
クラウドがエアリスの細腰を抱き寄せて、唇を重ねる。
薄っすらと開いた唇の隙間から、強引に舌を差し入れて、口腔を思うがままに貪る―――。
たまに漏れるエアリスの吐息が艶かしくクラウドの頬をかすめ、それがクラウドの頭をおかしくさせる。
しかしエアリスは、それには気づかない。
いつだってそうなのだ、エアリスは。
「する」気はないくせに、いや、あるかもしれないが、明確な意思は無いのに残酷にもクラウドの為すがままになる。
それが徐々にクラウドの我慢を限界へと導いているのには気づかない。
余りにも無防備すぎて、余りにも美しくて―――。
しかもエアリスの両親は結婚記念日の旅行に出かけていて、エアリスを自宅に早く帰らせる必要は全く無い。
そのせいかエアリスもいつもよりずっと長くクラウドの家にいた。
もう、10時を過ぎている―――。
今夜ばかりは、訓練された精神を持つクラウドでさえ己の欲求に耐えることは出来なかった。
「あんた、こんな時間まで男の部屋にいるって、どういうことか分かってるわけ?」
「え・・・・・・?」
刹那、クラウドはエアリスをベッドに押し倒した。
エアリスが、一瞬何のことだか分からない、とでも言いたげに目を瞬かせた。
「え・・・・・・あ・・・・・・!や・・・・・・だ」
反射的にでた拒否の言葉に、クラウドはかっと逆上せ上がるような感情を覚える。
必死にクラウドをどかして逃げようとするエアリスの腕を、クラウドはいとも簡単に片腕一本で上方に縛り上げてしまった。
はた、とエアリスと目が合う。
捕らえられた、小動物を思わせる瞳だった。
その瞳が恐怖に震えるのを見て、クラウドは拘束していた腕を離してやった。
エアリスは足掻きの様に、体をその場できゅっと縮こまらせる。
しかし、クラウドはそのことを全く意に介せず、引き寄せられるようにエアリスの首筋に口付けした。
「きゃ・・・・・・あ」
エアリスが蚊の鳴くような悲鳴を漏らした。
それと同時にアルマジロのように丸まっていた体から力が抜ける。
クラウドは、その体を仰向けにひっくり返すと、足をまたぐようにして覆いかぶさった。
「クラウド・・・・・・なん・・・でっ・・・・・・」
常日頃冷静で、そんなこと、全く考えていないとすら思っていたクラウドに、エアリスは純粋に「何で」という疑問を口にした。
クラウドはエアリスの肩を押さえながら、言う。
「俺は・・・・・・、あんたを・・・抱きたい」
真剣に見つめてくる青の瞳に耐え切れなくなり、エアリスはぎゅっと瞼を瞑った。
余りにも正直な、クラウドらしい見も蓋もない言葉に、エアリスは恥ずかしさに体を捩った。
「・・・・・・駄目か・・・・・・?」
クラウドは、そっとエアリスの唇を食(は)む。
エアリスはビクッと体を振るわせた。
・・・いや、と言えば止めてくれるということだろうか・・・・・・?
…でも、とエアリスはクラウドの手をぎゅっと掴んだ。
恐る恐る瞼を開ける。
「・・・・・・いいよ・・・。クラウド・・・・・・だから・・・・・・」
クラウドがエアリスの頬に手を当てた。
「・・・・・・いいんだな・・・?」
「うん・・・・・・」
今一度、深い口付けが交わされた。
密着した体から伝わるお互いのリズムが次第に早くなる。
クラウドでも緊張することがあるのだ、とエアリスはぼんやり思った。
―――クラウドがエアリスのワンピースを脱がしていく。
いつものクラウドには似つかわしくない、おおよそたどたどしい手つきだった。
次第に現れていく体の輪郭は、クラウドの期待に背く事無く、一線を駕した様に美しかった。
ゆっくりとクラウドはエアリスのワンピースを脱がした。
エアリスが恥ずかしそうに身じろいだ。
その姿だけで、クラウドのそれは固くなり始める。
グラビア写真でも見た中学生みたいだ、とクラウドは思った。
クラウドは無造作に自分の上着を床に投げ捨てる。
始めてみる、筋肉質のたくましい上半身にエアリスは更に真っ赤になった。
途端に、自分はこの人に抱かれるんだ、ということがはっきりとした輪郭を伴って分かった。
クラウドはエアリスの胸を覆っているその布切れを外す。
エアリスの呼吸と共に上下する桜色のそれを、クラウドは指で擦った。
「や・・・・・・んっ!」
感じたエアリスが、首を仰け反らせる。
それを軽く引っかいたり、摘んだりするだけで、エアリスは何度も何度も体を振るわせた。
「クラ・・・・・・ど・・・っ」
その間にクラウドは、誘い込まれるかのように、エアリスの最後の下着へと腕を進ませていった。
エアリスの腰を浮かせて、じれったいようにそれを下へ降ろす。
「やだ・・・・・・ぁ・・・」
エアリスが真っ赤な顔で呟いた。
しかしクラウドはそれを意に介さず、ゆっくりと茂みの辺りを擦り始める。
「あああんっ!や・・・・・・んあ・・・・・・っ!」
エアリスの体はいささか感度が良すぎて、クラウドに容易く翻弄された。
エアリスが体を捩るたびに艶かしく揺れる胸を、クラウドは手の平で鷲づかみにした。
「やん・・・・・・!!」
鋭い反応が返ってくる。それを見て、クラウドの唇に薄っすらと笑みが浮かんだ。
愛する人が、自分のすることで激しく悶える様子を見ると、サドスティックな快感を覚える。
クラウドはエアリスの胸を弧を描くようにもみだした。
途切れる事無くエアリスの甘い嬌声が部屋に響き渡る。
「やん!あああ・・・んっ、きゃあああッ!」
やがてエアリスのそこが熱く潤い始める。
クラウドは躊躇いがちに、それでも確かにエアリスへの愛撫を激しくさせていった。
エアリスの声がますます艶を帯び始める。
「ひあっやあっっん!あ・・・・・・んんっ!」
するりと入り込んだ内側は、滑らかで暖かかった。
所々ひだがあるかのように突起があって、それをクラウドは撫でたり引っ掻いたりした。
「・・・・・・・・・・・・・!!」
エアリスが声にもならない悲鳴を上げる。
ぐちゅぐちゅと音を立てて中に入り込んでいく指の動きを止めようと、エアリスは必死に手足をばたつかせたり、拳でクラウドの胸を叩いたりした。
しかしクラウドは一向に構う様子もなく、更に指の数を増やしていった。
指が締め付けられる。
クラウドの手の平にエアリスの愛液がこぼれてくる。
「やああああああん!だめえ、クラウド!!やめてぇえ!!」
「やだね」
「あうっ!」
融通の利かない子を懲らしめるかのようにクラウドはエアリスの中をかき回す。
エアリスの愛液はクラウドの手の平から溢れ、シーツにまで広がっていく。
クラウドは中指と人差し指の爪と腹で剥き出しのそれを摘んだ。
「きゃああ・・・・・・あん、あん!」
次第にエアリスの意識が快感で朦朧としていく。
それをクラウドは目を細めて見やった。
ふと、クラウドが指の動きを止めた。
既にクラウドのそれはエアリスの小さな穴では受け入れられないほど大きく膨らんでいた。
クラウドはすぐさま自分をエアリスの中に入れたいという強い衝動を覚えたが、すぐにはそうしなかった。
もうすぐエアリスが極限に達することに感づいたのだ。
「あんた、・・・・・・いきそう?」
瞳を真っ赤に潤ませたエアリスを見てクラウドはにやり、と笑った。
「やらしいな」
そうしてクラウドは再びエアリスへの愛撫を再開しだした。
「ひぐっ・・・・・・!」
指を付け根まで入れ、突いたり引っ掻いたりを繰り返す。
かき回す・・・・・・。
エアリスの胸の先端は固くしこり、それをクラウドが舌先で舐めあげる・・・・・・。
エアリスは限界だった。
体に痙攣が走り、大きくえびぞりに反り返る。
クラウドはエアリスの足をぐいと開かせた。
「入れるぞ」
「え・・・・・・ああああ!!いやあああああッ!!」
クラウドは強引に、エアリスの小さな入り口をこじあけて自分を中に入れてしまった。
瞬間、エアリスが稲妻に貫かれたかのように体を反らした。
更に繋がりが深くなっていく・・・・・・。
「やん!きゃ・・・あああん!だ・・・・だめえッだめぇ!」
初めての苦痛にエアリスが激しく拒否反応を起す。
クラウドはありったけの自制を働かせて、エアリス頭を優しく撫でながら慣れるのを待った。
「クラウド・・・ぉ。わた・・・し・・・・・ほんとに・・・・・・だめ・・・」
エアリスが途切れがちに言った。
苦痛に歪む顔を、その頬を、涙が流れ落ちる。
「いいって言ったのはあんただろ」
「いじわ・・・・・・きゃあああああ!!」
クラウドがゆっくりと腰を動かし始める。
エアリスの中がびっくりしたように、クラウドのものを強烈に締め付け始める。
次第に腰の動きが激しくなっていく―――。
「あああああああん!ひあああ・・・・ん、あああっ!」
「く・・・」
痛みの消えたエアリスがクラウドを止めることはできなかった。
逃げようと試みるたびに、クラウドに阻まれ激しく突かれる。
体はぴったりとくっつき、もはやクラウドのそれは最奥まで突き進んでいた。
汗ばんだ体は、ただただ熱っぽく、冷房の存在さえ忘れさせていた。
エアリスはもう三度達していて、もう抵抗することさえ叶わず、頭の中は真っ白だった。
唯、喘ぐだけ―――。
「ああっ!きゃん!・・・・・・やあんッ!!ひああああ!!!」
お互いの体に触れることさえ初めてだった二人は、時間を忘れ唯、抱き合っている。
いや、既にエアリスはぐったりとしていたが、クラウドは唯でさえ有り余る体力の上に、若く激しい精力が伴って、疲労さえも忘れているようだった。
一心不乱でエアリスの体を貪っていく。
「あああああああああああああああん!!!!」
エアリスが再び達した―――。
達する間際の激しい締め付けがクラウドを襲う―――。
「ぐうっ・・・!」
噛み殺したような呻きを残し、絶頂の証がクラウドを通して、エアリスに伝わりかける。
寸前で抜き取ると、精液がエアリスの秘部に勢いよく注がれた。
何とか、間に合ったようだ。
やっと満足したのか、自分のそれも今や立ってはいなかった。
荒んだ呼吸を落ち着ける。
どくどくと心臓が波打っていた。
ふと、静かなのに気づいてエアリスのほうへ目を向ける。
そこには疲れきってぐっすりと眠りこけたエアリスの姿があった。
クラウドはふう、と溜息を付いてエアリスの隣に寝転がった。
布団をエアリスにかけてやる。
クラウドはエアリスの幸せそうな顔にそっとキスをした。
次の瞬間、クラウドを強烈な睡魔が襲った。
「クラウド!早くご飯食べて!!」
「今何時だ!?」
「八時十五分!」
「げっ・・・・・」
二人は案の定寝坊した。
別にエアリスは構わないのだが、クラウドにとっては最悪だ。
今日は剣道部の朝練があるのだ。
スポーツ専門の神羅高校のエースのクラウドが遅刻なんてしたらそれはそれで示しが付かない。
「じゃ、行ってくる!」
「あ、お弁当忘れてる!!」
「あ!」
「もう、ばかーー!」
なんて、新婚さんよろしくの会話をしながらクラウドが道をロードバイクで駆けていく。
エアリスはその背中をひやひやしながら見送った。
「クラウドって何だか抜けてる・・・・・・」
エアリスは顔を赤らめながら溜息を付いた。
「あ、そうだ、シーツ洗濯しなくちゃ」
FIN
反省
やっぱり出来なかった・・・・・・。本当はもっと長くしていやらしく(!?)しようかと思っていたんだけど、やっぱ初めてだったらそんなにしないか
なぁ・・・?と思って止めました。
いつかリベンジ。
後日談
「あ、クラウドお帰り!」
「ただいま」
「うわ、なんか疲れてるね」
「まあな。・・・にしても今日はハードだ・・・・・」
「(ムカ)クラウドがいけないんでしょ!自業自得だわ!」
「誰もそんな事言ってないだろ」
「ふんだ!」
「(何怒ってんだよ……?)」
「クラウドはデリカシーってものが無いんだわ!」
「…は?」
「だーかーらー。・・・・・・その……無理矢理…… (もごもご)」
「あんたが良いって言ったんだろ?」
「やっぱりヤダって言ったモン!」
「あんたこそ、それだろ?ジゴウジトク」
「きゃあ!もう、馬鹿!!」
「…いいのか?帰んなくて。もう十時だぞ?」
「ご飯作って待っててあげたの!」
「ヘエ…。じゃあ、飯食い終わる頃には11時近いな(にやり)」
「何考えてるのよ!」
「ナンニモ」
「……。ね、何買って来たの?ソファーの上」
「ん?ああ、ウイダーインゼリー」
「もう、そんなものばっかり食べるんだから!まあ、いいわ。一個頂戴?帰るから!」
「はあ、どれがいい?」
「貸してよ、自分で選ぶから」
「いや、言えって」
「自分で見ないとよく分からないじゃない、貸してよ、袋ごと」
「取ってやるから言えって」
「……なーんか隠してるわね?見せなさい!」
「うわッ・・・・・・おい!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「0.03_…。」
「・・・・・・・・」
「クラウドォッ!!!」
「・・・・・・・・・・・・・」
「ばか!もう、帰る!!」
「ア…おい…」
「・・・・・・・ちぇっ」
今度こそFIN